病室に現れた白塗りの幽霊 もしも呼びかけに応じていたら
母方の田舎で、「呪怨(ジャパニーズホラー映画)」を観ていたら、たまたま部屋に入ってきた祖母が伽耶子の白塗りの顔を見て
「ちょうど、こんなじゃった!」
と言う。
そこから、なぜか祖母の怪奇体験談が始まった。
嫁にきてすぐのころ。
過労がたたり、胃腸炎になってしった祖母。
そのまましばらく入院した。
その入院中に、同室だった80歳を過ぎているであろう婆さんに
「連れて行かれそうになった」
のだという。
80歳すぎの婆さんは、祖母(若いころ)が回復していくのと対照的に、容態が悪化していった。
そのうち、特別室(今でいうICU)に移された。
そんな、ある晩のこと。
特別室で動けないはずの80過ぎの婆さんが病室に現れたかと思うと、ニタニタと笑みを浮かべて戸口から一晩中、祖母の名前を呼んでいたという。
その顔や手足が、呪怨にでてくる伽耶子みたいに真っ白だったそうな。
顔中真っ白で、目だけが黒く目立っていた。
同室だったころの優しさはなく、まるで化け物のようだったのだとか。
祖母は、その晩はずっと金縛り状態で動けず。
気が付いたら、朝になっていた。
80歳の婆さんは、その夜に息を引き取っていたらしい。
苦しんで死んでいったのだとか。
「あれは絶対に、自分(祖母)を連れに来たに違いない。もしも、あのとき。呼びかけに返事をしていたら、魂を抜かれたと思う。足の先辺りから、魂を抜き取ろうとしていたのがわかった。」
と言い切っていた。
怖いのは、白塗りの婆さん幽霊は、病室の戸口から呼びかけていたはずなのに、声は幽霊の口元からではなくて、祖母の脇腹辺りから聞こえてきたことだそう。
「○○さん、○○さ~ん(祖母の名前)」
そんな声が、脇腹から心臓に抜けていった。
あまりの恐ろしさに、気を失いかけたけど、気を失ったら連れて行かれる事がなんとなく分かっていたので、自分の子供のことを考えて足を踏ん張り必死で堪えた、そうだ。
これは、今から50年前の話。