三人の男の子がいた。
男の子たちは両親に愛されすくすくと育ち、成人し実家を出た。
三人とも社会的に成功をおさめ、お金持ちになった。
その三人はあることを考えていた。
あることと言うのは、来月の母親の誕生日だ。
何をあげれば母は喜んでくれるだろうか。
そして、誕生日。
各々が、母親の喜ぶであろうプレゼントを贈った。
数日後。長男、次男、三男はテレビ電話をして、それぞれが母に何をプレゼントしたのかを競い合った。
長男「お母さんを一番喜ばせたのは俺だよ。なにせ、高級車をプレゼントしたからね」
次男「兄さん。馬鹿を言わないでくれ。一番喜ばせたのは俺さ。だって俺は、お母さんに家をプレゼントしたんだから。都内の5LDKだぞ」
三男「お兄ちゃんたちは、まったくお母さんを理解していないね。お母さんはお金で喜ぶ人じゃない。お母さんはお父さんが他界してから一人で寂しいのさ。だから、そんなお母さんが寂しくないように、僕は会話することができるオウムをプレゼントしたんだよ。賢いオウムだから、絶対にお母さんは気に入ってくれたはずだよ」
長男「よし、それなら今からお母さんにもこのテレビ電話に参加してもらおうじゃないか。それで、誰のプレゼントが一番嬉しかったのかハッキリさせよう」
次男「いいね。すぐにお母さんに電話しよう」
長男が母へ連絡し、しばらくすると母もそのテレビ電話に参加してきた。
母「○○(長男)、車をありがとう。でも、お母さん最近車に乗らないのよ。高齢になると足腰が弱くなるから、歩かないといけないの」
長男「そうだったのか」
母「△△(次男)、家をありがとう。でもね、お母さんが一人で住むには広すぎたのよ。掃除するだけで一日が終わっちゃうくらい広いでしょ」
次男「そうか。俺はそこまで考えていなかったよ」
母「××(三男)のプレゼントが、お母さんは一番嬉しかったな。すごくお母さんのことを分かってくれてるって思ったわ」
三男「そうでしょ。だってプレゼント選びを何か月も悩んだんだから」
母「ありがとう。とっても美味しい鳥だった」
解説は下へ。
解説
説明不要だと思うが。
お母さんは、会話のできるオウムを飼うのではなく、食べてしまった。