鏡を見て気がふと付いた。
あまりにも、髪の毛がボサボサだ。
面倒だけど切りに行くしかないだろう。
以前通っていた床屋がなくなってしまったため、今回は初めての床屋に行くことにした。
古ぼけた外観で、外から見る限り客はいない。
少し不安ではあるが、まあいいだろう。
こうして店を持つということは、素人よりはずっと上手いはずである。
中に入ると、一匹の犬がいた。
犬は俺のことをじっと見ている。
「すみません」
奥に声をかけると、ヨボヨボのおじいさんが出てきた。
どうやら、このおじいさんが理容師らしい。
大丈夫だろうか。
席に着き、散髪が始まった。
おじいさんがカミソリを手に持つと、先ほどまで座っていた犬が立ち上がり尻尾を振りだした。
「この犬は髪を切るところを見るのが好きなんですか?」
俺が尋ねると、おじいさんは首を振った。
「いいや。この子は、髪は好きじゃない。肉が落ちてくるのを待ってるんですよ」
解説は下へ。
解説
床屋のおじいさんは、お客の耳を切り落としてしまうことがあるようだ。
犬は耳が落ちてくるのを待っている。
※ 当サイトオリジナルの意味怖です。
コピーしないでもらえたら嬉しいです。